島根県のグルメ情報をお伝えするコーヒーブレークに加え、お気に入りの宿を紹介する新コーナー「やどかりノート」を開設することにしました。自宅のある益田市から近いところには宿泊しないので地理的に情報が偏ってしまうと思い、今まで宿のことを書かなかったのですが、やはり少しでも県内の素敵な場所を紹介したいので、気の向くままに更新していきたいと思います。

名湯再生へ。有福温泉に注目!
 江津市の有福温泉は1350年の歴史があるとされ、源泉かけ流しの名湯です。高度成長期に賑わった温泉街は近年、すっかり元気をなくしていましたが、代替わりした温泉旅館組合の若旦那衆が結束し、昨年から再建計画が始動しています。民間金融機関の融資を取り付け、外湯施設の増設や石見神楽の演芸場、カフェなどを整備して温泉街を活性化する計画です。

 有福温泉は昭和の香りがする温泉街で、今現在も外湯が3棟あり、土曜夜には石見神楽を上演しています。広島から浜田市まで高速道路を使えば、江津市まではもう一走りです。島根県の石見地方へは空路なら萩・石見空港、陸路なら広島から入るのが便利です。有福温泉への到着直前には道を間違えたかと思うほど不安な道路がありますが、そこは秘湯らしさだと思ってください。よくも悪くも石見地方には発展が遅れたことによる変わらない雰囲気、魅力があると思います。

今回は2件の宿を紹介します。温泉街には様々な価格帯の宿があり、異なるニーズを満たしていると思いますが、以下の2件はお洒落で施設が新しい宿です。

旅館ぬしや(0855−56−2121)
「旅館ぬしや」のロビー「旅館ぬしや」のおろちの湯
 有福温泉の高級旅館「ぬしや」は落ち着いた雰囲気の大人の宿です。温泉街から少し離れた高台に建ち、古民家を移築した母屋と離れ、酒蔵を移築した大浴場などが山林に点在しています。ロビーや洋室のテーマは大正浪漫…。離れの方は3家族6人くらいまで収容でき、まるで別荘です。室内には浴衣と作務衣の両方が用意されています。食事は古民家の母屋でいただくか、離れの場合は部屋食を選ぶことができます。

 大浴場「おろちの湯」はその名の通り、おろち(大蛇)の口から湯が出てきます。おすすめは早朝の露天風呂…東向きのこのスポットで林間から昇る太陽を見たら、きっと1日幸せな気分で過ごすことができるでしょう。

竹と茶香の宿 旅館 樋口(0855−56−2111)
「竹と茶香の宿 旅館 樋口」の客室
 有福温泉の看板横、温泉街の入口に立つ「旅館 樋口」は和風モダンがテーマの洒落た宿で、若者に人気があるそうです。見かけよりも奥行きがある細長い建物で、靴を脱いでから長い廊下を進んでいきます。途中、大浴場や休憩スペース、自由に選べるアロマキャンドルや本・DVDの貸出スペースがあり、細かい配慮が行き届いています。

 通された部屋に露天風呂と足湯がついていたので驚いたら、半分以上の部屋が露天風呂付きなのだそうです。食事は部屋食。これは部屋から一歩も出たくなくなるパターンですが、大浴場も勧められるので行ってみたら、露天風呂に竹筒に入った日本酒がぶら下がっていました。これは酒飲みでなくても自然と手が伸びます。長い廊下の途中には温泉街の中に抜ける裏口があり、ここから外湯めぐりに出かけることもできます。

「竹と茶香の宿 旅館 樋口」のお見送り犬
 翌朝、帰る時に見送ってくれた旅館の主、けんと君とはやと君に犬好きの私はすっかり魅了されてしまいました。はやと君の首の「ありがとう」プレート、写真でわかりますか?ゴールデン・レトリーバーとバーニーズ・マウンテン・ドッグ、体は大きく力持ち…じゃなかった、優しい犬ですよね?