2009年3月10日(火)JAXA(独立行政法人宇宙航空研究開発機構)主催レセプションで挨拶
 米国東部時間3月11日夜に予定されていたスペースシャトル「ディスカバリー」の打ち上げを視察する為、日本を3月10日に出発し、フロリダ州に向かいました。残念ながら打ち上げ当日、燃料(液体水素と酸素)充填を始めたところ、外部燃料タンクからの液体水素漏れが発覚し、急遽打ち上げが延期されました。最短でも修復に4日は要するとのことだったので今回は帰国し、結局、ディスカバリーは日本時間で3月16日8時43分に無事打ち上げられました。当初2月12日に予定されていた打ち上げは5回も延期され、その不確実性と難しさを実感する旅になりました。

 昨年、国会で宇宙基本法が成立しましたが、私は「宇宙基本法フォローアップ議員協議会」という議員連盟に加盟しています。この法律に賛成した政党から数名ずつ議員が参加しており、私は国民新党を代表してただ一人、加盟しています。小さな政党なので色々な仕事が私に回ってくるのですが、宇宙については子供の頃から興味があるので、勉強するにつれておもしろくなってきました。

2009年3月12日(木)ISS整備棟
 現地に行ってわかったことですが、まずスペースシャトルが地球を周回するだけだった頃とは異なり、ISS(国際宇宙ステーション)時代の打ち上げは、シャトルをISSにドッキングさせなければならない為、軌道計算上、打ち上げ可能な時間枠は1日に10分しかありません。シャトル整備を完璧にした上で、その10分間に気象条件が整わなければ、打ち上げは延期されていきます。また打ち上げの2秒前までは緊急停止が可能なシステムになっています。打ち上げに立ち会えなかったのは残念でしたが、通常は入ることができないNASAの施設を見学し、日本人宇宙飛行士の星出彰彦さんや山崎直子さん(若田光一さんは隔離されていましたが)、またシャトルに2回搭乗した向井千秋さんともお話することができました。

 ケネディ宇宙センターはフロリダのオーランド国際空港から車でビーチの方向に1時間ほど走ったところにあり、空軍基地に隣接しています。すぐ近くにはココビーチというサーファーのメッカがあり、なんとNASAは自然保護区のど真ん中に位置しているのです。広大な敷地内の移動はもちろん車、そして道路脇の小川をよくよく眺めるとワニが数匹…。打ち上げ直前には野生動物を追い払う係もいるという環境には驚きました。

 スペースシャトルはもともと5機ありましたが、そのうち2機(チャレンジャーとエンデバー)を事故で失っています。事故で亡くなった宇宙飛行士は14人…。これはNASAが想定していた以上のロスで、米国はブッシュ前政権時代にスペースシャトルの打ち上げを2010年で終了すると決めています。現在はConstellationという次期ロケットの開発計画が進行中ですが、これは国際宇宙ステーションだけではなく、月や火星にも飛ばすことのできるロケットとして開発されています。

2009年3月12日(木)オービター整備施設1
 ところでスペースシャトルというのは、打ち上げられる燃料タンク等を含めた総称であり、宇宙を飛行する部分はオービターと呼びます。そしてその形状を見てもわかる通り、ロケットというより航空機に近く、しかも燃料タンクのすぐそばに外付けされているので、打ち上げ時に露出し衝撃にさらされるという点で危険度が高いのです。過去の2回の事故は両方とも打ち上げ時の機体の損傷が原因で起きた事故です。

2009年3月12日(木)スペースシャトル組立棟12009年3月12日(木)スペースシャトル組立棟2
 次世代ロケットは先端のカプセル部分に宇宙飛行士が乗り込むという従来の形状になるそうで、打ち上げ時にはカプセルは蓋の中に納められているので、スペースシャトルより遙かに安全です。問題はシャトルの打ち上げを中止してから次世代ロケットの運用が始まるまでに5年ほどのブランクができてしまうことです。その間ISSをどうするのか議論が続けられており、まだ結論に至っていません。現在でも地球とISSの間を往復できる機体はスペースシャトル3機とロシアのソユーズの計4機のみです。(ちなみにソユーズはカプセルに人が乗り込む伝統的な形状です。)現在ISSに長期滞在中の若田光一さんは6月に打ち上げられるスペースシャトルで帰還する予定であり、野口聡一宇宙飛行士はソユーズに搭乗してISSに向かうことが決まっています。

2009年3月12日(木)オービター整備施設22009年3月12日(木)オービター整備施設3
 このような状況についても今回の視察を契機に知ることができました。現地では整備中のスペースシャトル「アトランティス」のオービターを間近で見学し、その真下に立ちました。ロケット組み立て用の建物や発射台、ISSの整備棟なども見せていただきました。帰国してから米国大使館のNASA担当の方ともお会いし、やはり現地視察は知識と人間関係を広げるものだと実感しています。

2009年3月12日(木)スペースシャトル発射台
 宇宙開発の技術、ロケットや人工衛星を打ち上げる技術は軍事転用にも繋がるもので、北朝鮮の「飛翔体」打ち上げは日本にとって一大事でした。日本は宇宙の平和利用を目的として宇宙基本法を制定しています。そのモニタリングを目的として宇宙基本法フォローアップ議員協議会は設置されているのですが、やはり技術立国の日本として宇宙開発分野で世界に遅れないようにすることは必要だと私は思います。